起きたら巨大な虫になっていた。
不定期更新、私の本棚シリーズ。今日は、
「ある朝、グレゴール・ザムザがなにか気がかりな夢から目を覚ますと、自分が寝床の中で一匹の巨大な虫に変わっているのを発見した。」
で始まるフランツ・カフカ「変身」
働き者の若者グレゴールに突如降りかかった災難。
1ページ目から引き込まれます。
100ページちょっと。短めの作品です。
こんなインパクトあるスタートなのに、淡々とお話は進みます。
虫な日常と、それを取り巻く家族たち。
何と、結末までもあっさり。
え、そんなんでいいの?と思うくらいあっさり。
でも、決して退屈ではありません。
現代実存主義文学の先駆者の異名は伊達じゃありません。
ただの奇怪譚ではなく、哲学の味がします。
扉絵に虫は描かないで。
作者のカフカは本の出版先に「扉絵に虫は絶対描かないで」と注文したそうです。
と、考えると「虫」は「虫」ではないとなるわけです。
これを何に置き換えるのか。
研究者によって説はわかれますが、そこがまた面白い。
余計なものを削ぎ落とすことで読者の思考を引き出す。
良書の特徴と個人的に思います。
と、書いたにも関わらず。
とても読めたものではない結末・・・
カフカ自身は「とても読めたものではない結末、ほとんと細部に至るまで不完全だ。」
と失敗作扱いです。
どうですか、読みたくなりませんか。
保免校には2月の間、置いておきます。
興味がある人は手に取って、おもしろそだと感じたら書店へ。
「本はしみるもの。手元に置いておきましょう。」
自分だけの素敵な本棚を作ってください。